標題:
お前は、このまま振り返らずにここを出て行くんだ
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作者:
9855449iwp
時間:
2014-7-8 00:30
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お前は、このまま振り返らずにここを出て行くんだ
少しぶっきらぼうにそう言って、ソファの奥の目の届かない隙間から大きな花束を取り出した。「今日も、お墓参りに行かれるんですね。それとも、紗奈さんに?」
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「……はい、先輩」 私は踵を返し、歩き出す。 これが最後。 この執務室も。 このカツカツと時を刻む時計の音も。
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「それじゃ、そろそろ俺も行くとするか。お前は、このまま振り返らずにここを出て行くんだ。いいな、これが本当のお別れだ。――さよなら、遊馬」
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コーヒーの匂いも。 ――そして、先輩も。 私は歩き出さなければならない。「――」 しかし、最後の最後で、私の足は、私の命令を裏切った。 私はふと立ち止まって、小走りに先輩に駆け寄った。「――実習……?」 嗜めようとする先輩より早く、私は背を伸ばして、先輩の無精髭の生えた頬にキスをした。「……何をする、実習生」 しばらくの間、頭をその大きな胸にあずけていると、ややあって、先輩が、やられた、というようにぼそりと言った。 私は「えへへ」と笑うと、「……仕返しです。今まで私にしてきた先輩の意地悪への。そして、最後に、こんなふうに私を泣かしたことに対しての」 私は泣かないと決めていた涙をひと雫こぼし、指で拭った。 そうして、再び身を翻すと、執務室のドアまで駆けていった。「さようなら、先輩! 今まで、本当にありがとうございました!」 私はもう振り返らず、未練を断ち切るかのように大声でそう言って、ドアを開けた。http://www.sunglasses.thefutures-company.com そういう私に、先輩は、苦笑いを返した。「いや……この花束は、お前への……その、お祝いにな」 一瞬の空白の後、私は素っ頓狂な声を上げてしまった。オークリー サングラス アウトレット「――え?」 全く予想してなかったことだ。 ……こんな不意打ち、ズルすぎる。「ありがとうございます」
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私は、天を仰いで目を瞑ると、そのままゆっくり顔を下ろして、静かに頷いた。「――はい」 最後の最後は、泣かないことに決めていた。しかし、とめどなく押し寄せてくる今までの様々な出来事が、涙の海の堰を切りそうになっていた。
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『未練』からも。 クライエントからも。 ――そして、先輩からも。「お別れだ、二階堂……遊馬」
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私は、嬉しさと感慨深さにいっぱいになり、溢れ出そうになる涙をこらえて唇を噛みつつ、礼を言った。
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先輩は、ポンポン、と私の頭を叩くと、「成績は、優だ。掛け値なしに、贔屓目なしにな。よく頑張った――そして、ありがとう」
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