標題:
のためにも、必要なものだ
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作者:
9666873ruy
時間:
2014-6-12 18:52
標題:
のためにも、必要なものだ
先手必勝。最後の一個は、今種子島基地で頑張っている樹(いつき)のためにも、必要なものだ。 女性が優しく微笑みながら、肩にこぼれる髪を耳の後ろに掻き揚げる。しばらく、小さな女の子の反応を待った。辛抱強く信頼しきった眼差しが、音(おと)には心苦しい。
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女性は困ったように吐息を吐くと、躊躇いがちに口を開いた。「ごめんなさい。譲ってくれると、助かるんだけど……」
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「ご、ごめなさいっ」「――――あら」 音(おと)が素早く、最後の金平糖をひったくるように取ると元来た通路を駆けて行った。 女性は彼女の素早さに目を見張って、虚しく手を伸ばす。しかし、どうしても制止の声が出せず、諦めて帽子をかぶった。 一方で音(おと)は金平糖を大事に抱えて、冷凍品コーナーに着いた。肌寒い空気が冷や汗を撫でて、寒気を誘う。悪いことをしたという自覚が急に浮上して、彼女の未熟な良心を凍てつかせる。「…………」 音(おと)は立ち止まって、金平糖の袋を今一度見る。 今からでも、あの女性に譲ろうか。だけど、樹(いつき)が――――。 煩悶とする彼女の正面から、寒そうに腕を摩る彩子(あやこ)が歩いてくる。http://www.af.wegogeneva.com 音(おと)は咄嗟に手を引っ込めて、隣に目を向ける。 そこには、手を胸の前で組む女性の姿があった。つばの広い帽子に、落ち着いた服装ながら、気品あふれる女性だった。買い物かごは持っておらず、小さなカバンを下げていた。オークリー サングラス 偏光「もしかして、あなたも……?」 女性が柔らかい声音で、訪ねてくる。 音(おと)は女性の顔を上目づかいに見て、小さく頷いた。目の前の人も、また金平糖がほしいのだ。それはすぐにもわかった。
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「――――っ」「――――あ」 瞬間、音(おと)と手を伸ばした主の声と両者の手が触れあったのは同時だった。
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時の流れは悲しみを昇華させてくれたが、音(おと)から不安の種を取り除いたわけではない。忘却という虚しさを思い起こさせるのだ。
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「あ――――っ」 音(おと)がぱっと明るい笑みを浮かべて手を伸ばすと、横から別の手が同じ金平糖の袋に伸びた。
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音(おと)の気持ちが沈みかけたその時、ビニール包装された金平糖を発見。最後の一袋が、棚の上段にあり、色とりどりの小粒が輝いて見える。
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丁寧に帽子を取って目線を下げる女性に音(おと)は、はっと目を見張った。 整った顔立ち、肩からこぼれる艶やかな黒髪、どこかで見たような気もする顔だった。それがどこだったか思い出すよりも早く、音(おと)の頭にはある言葉が流れた。
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