標題:
これが現実なのだと是烈は絶望の底でようやく悟った
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作者:
8205619hyx
時間:
2014-6-10 10:05
標題:
これが現実なのだと是烈は絶望の底でようやく悟った
http://www.af.au-naturelle.net 我烈が現れた時、まるで夢を見ているように是烈は感じた。二年前の或る日、我烈は唐突に亡くなったのだと心の底では認めていたから、単に表層の意識が頑として否認を貫いていたに過ぎない。人がいない所で何度泣いたか知れない。もう二度と我烈の声を聞けない、姿を見られない、頭を撫でて貰えない……悲しみは是烈を絶望の淵に落としたが、傍に〈牙〉や朔雷がいた事で懸命に前を向き続けた。絶望を振り切って今を生きる事だけを択一したのだ。ビルケンシュトック レディース 二年の歳月で我烈は完全に過去の人と成り果てた。思い出せば仄かに心が疼くだけで、もう悲しくは無かった。忘れた訳ではない、克服したのだと言い聞かせた。それが――昨夜唐突に積み重ねてきた想いを粉微塵に破砕された。生きていて嬉しかったのは確かだ。また一緒に時間を重ねられると思った瞬間、涙さえ零れた。にも拘らず我烈は今度こそ確実に死んだ。ささやかな希望に止めを刺すように、是烈の前に屍を晒したのだ。
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「もうっ、冴羅様! それは当然わたくしの事でしょうねっ!?」腕を振り回して怒り始める竜華。“嘘みたいに幸せな景色だ”――是烈には眼前に映り込む光景が“虚像”のように見えていた。贋物の幸福感が漂っている――そんな想いが胸の底から浮き上がる。今まであまりに苛烈な世界に身を投じていたためか、是烈の視界に濾過器(フィルター)が組み込まれたように、マトモな映像を結んでいなかった。
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「……あぁ、そうだな」落ち着いた声で応じる冴羅は上の空のままだった。「……? 冴羅さん?」思わず是烈が声を掛ける。
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「ん?」全員の視線が己に注がれている事に気づいた冴羅が剽げたように肩を竦める。「あぁ……済まん、ちょっと考え事をしてた」
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「朔雷様……有り難う」思わず瞳が潤んでしまう竜華。「冴羅様っ、皆様の期待に応えられるような盛大な式にしましょうねっ!」
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冴羅の周りを走り回る竜華と箕萩を虚ろな瞳で見つめていたからだろう、不思議そうに朔雷が近寄って来た。「どうしたの? 呆っとしちゃって」
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これが現実なのだと是烈は絶望の底でようやく悟った。どれだけ幸せな出来事が起ころうとも、己はそれを永遠に掴む事は出来ないのだと気づいた。まやかしの幸福は瞬く間に砂上の楼閣と成り果て崩れ落ちる。だからこれも――“何れ落城する虚構の幸せ”なのだと、それ以外に感じなかった。
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