標題:
そこに好意的な感じは存在しなかった
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作者:
qobylymqd
時間:
2014-6-10 05:31
標題:
そこに好意的な感じは存在しなかった
「いや、一つだけ私にも得意なことはあったか……」 椅子をくるりと回転させ、ヴィヴィアンに背を向けたガードナは立ち上がって窓辺に歩み寄る。
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「我ながら、ここまで国民を騙し通せるとは思ってもいなかったよ。内政、軍事、外交……そのどれをとってもあの男の足元にも及ばない私が、よもや宰相代理という立場においてこの国を御するにまで至るとは……。君もそうは思わないかね、ヴィヴィアン?」
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副宰相のガードナが宰相代理として就任するまでの二日間のことを、人々はいつしか『束の間の平和』と呼ぶようになっていった。こののち、ランスロット王国は軍事国家として変貌していくことになる。
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「ふん……君は飾るのが下手だな。私が政治に関して劣っているのは事実だ。無論、一般人と比べれば私の方が詳しいだろうが……所詮それだけだ。別に優れているわけでもない」
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誰もがその死を信じて疑わない。人々は嘆き悲しみ、同時にその偉大な功績を讃えた。 ――――今あるランスロットの平和が保たれているのは彼のお陰だ。そしてその安念は、平和を愛するランスロット国民たちによってこれからも約束されるであろう、と。
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有望な人材であったことからも、彼の死はランスロットの政界に大きな衝撃を与えた。元々人望も厚く、誰かに恨まれるような人柄でもなかったらしい。そのため事件の死亡原因は自殺という形で処理され、その理由も国王の衰弱による自信喪失という予測に終わった。
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鼻を鳴らして唇を吊り上げた彼に、特別不愉快な表情は見受けられない。むしろ相手の出方を楽しんでいるかのような、悪辣とした口調である。そこに好意的な感じは存在しなかった。
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かつては王都としてそれなりに栄えていたこの街も、今ではすっかり廃(すた)ってしまっていた。住民たちの活気ある声が風に乗って聞こえててくるわけはなく、それどころかこの街が街として本当に機能しているのかさえ定かではない。政治に優れていないとガードナは言ったが、むしろ彼は政治に対して無関心であった。自分の任務を果たすべきためなら、他の事情など知ったことではない。http://www.corbo.aurorabankna.com 国王だけが座ることが許される執務用の椅子に堂々と腰掛け、大げさに肩をすくめてみせたガードナは、長机を挟んで向かい合う細身の女性に声を掛けた。ブランドバリー「いいえ、閣下の知略は相当のものかと存じます」 地方行政担当の高等官吏にして、ガードナ専属秘書であるヴィヴィアン。表上は下級貴族の出身となっているが、彼女はランスロット人ですらない。その正体は北の大国グルセイル帝国の諜報員の一人であり、本名も別に存在している。
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